大陸と香港・マカオ間の出入境について

お久しぶりです。

4月中旬にHSK試験を終えたので、一休みということでマカオに5日間行ってきました。

マカオを一周してやろうと、頑張って折りたたみ自転車を抱えてゲートを超えてマカオに入ったにも関わらず、天気が悪くて観光は今ひとつでした。

しかしながら、人との出会いには恵まれて、観光客のマレーシア人や、台湾出身のスタバの店員さんを初め、いろいろな人とお話しをすることができました。

今回は、マカオ旅行を通じて考えたことの一つとして、一国二制度に関する出入境について少し紹介したいと思います。

多くの方がすでに御存知だと思いますが、一国二制度のもと、香港、マカオと大陸中国の間にはそれぞれゲートがあり、通行には、外国に出入国するのと同様の手続きを行う必要があります。あくまで中国内での移動なので、この手続を「出入国」ではなく「出入境」と呼んでいます。

この出入境手続きは、
 香港・マカオの中国人 > 日本人 > 台湾の中国人 > 大陸の中国人
の順に優遇されています(つまり一番不便なのは大陸の中国人、ちなみにその他の国の人のことは調べていません)。

<以下、長くなりますが少し制度を説明します>

大陸の中国人は、パスポートこそ必要ないものの、「通行証」(正確には「中華人民共和国往来港澳通行証」)という香港・マカオ専用パスポートのようなものを携帯し、さらにビザを取得しなければゲートを通過することはできません。このビザ、申請に5日程かかる上(最も取得後三ヶ月間有効で、何時使っても良いようですが)、個人旅行では7日間までしか滞在できません。

(以下、画像はすべてネットで拾ったものです)

香港・マカオの中国人は、Suicaのようなカード(正確には「港澳居民来往内地通行証」)を持っていて、自動改札にカードをかざすだけで通行ができます。私がゲートで並んでいた際に、マカオ人のおじさんが、自転車に乗ってゲートに入ってきて、チリンチリンと鈴を鳴らしながら、そのまますっとゲートを通過していきました。

次に、台湾の中国人です。今回の旅行で、マカオ人と結婚してマカオにやってきた台湾人のスタバの店員さんと仲良くなったのですが、彼女が大陸に入るためには、やっぱり毎回ビザの取得が必要だそうです。最も、大陸人が香港・マカオに入るときよりは幾分楽なようで、当日でもビザの取得が出来るそうです。身分証は、「中華民国」のパスポートを使うようです。

(以下2パラグラフはマニアックすぎるので興味の無い方は飛ばしてください)
と思っていたのですが、調べてみると、「中華民国」パスポートで出入境できるのはマカオのみであるとのこと。大陸と香港では、台湾を出境する際には「中華民国」パスポートを使用し、大陸・香港に入境する際には中華人民共和国が発行する「台湾居民来往大陸通行証」という身分証を使用し、それぞれの身分証にそれぞれの国名のスタンプが押されないという離れ業を行っているとのこと。
(参照:http://ja.wikipedia.org/wiki/台湾居民来往大陸通行証)

ちなみに、大陸人が香港・マカオを経由して台湾に入る際には、7日間以下の滞在であればビザが免除されるとのこと。直行便の無い時代にはそれだけで済んだのでしょうが、今はどうなっているのか、ちょっとそこまでは調べられませんでした。

さて、我らが日本人ですが、大陸、香港、マカオに台湾、すべてノービザで入ることができます。大陸は15日まで、香港・マカオ・台湾はなんと90日まで滞在可能です。特に、香港・マカオは大陸と陸続きのため、三ヶ月に一度大陸に遊びに行けば(最短2時間もあれば行って帰ってこられる)、理論上は無限に何時までも滞在出来てしまいます(注:やりすぎるとゲートで止められる可能性は残りますが)。

<以上制度の説明終わり>

以上、長々と制度について説明してみましたが、同じ中国人でありながら、大陸の中国人は圧倒的に香港・マカオ・台湾との出入境が制限されており、むしろ外国人である日本人の方が便利という全く奇妙な状況になっているのです。

私は香港が好きなのでよく行くのですが、中国人からは「簡単に行けていいね」などと良く言われます。もちろん制限する側の立場も理解できますが、やはり大陸の中国人からしたら納得出来ないというか、複雑な感情を持っているのだと思います。

こういった現象は日本にいると中々気がつかないのだろうと想像し、紹介してみました。

一国二制度にはまだまだ紹介したいところがあるのですが、長くなったので、今回はこれくらいにしておきます。